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バリウム製剤の成分にアレルギー反応?アイスクリームやヨーグルトにも使用される成分だった!健康診断でまさかのアレルギー
2018年2月12日放送の世界仰天という番組で紹介されていたのは、毎年受けていた健康診断でアレルギー反応が出てしまった兵庫県の女性、Aさんのケース。
一体どんなアレルギーなのでしょうか?
健康診断とアレルギー
Aさんは特にどこか気になるわけではありませんでしたが、毎年、健診を受けていました。
家に帰ると、腕に発疹が出ていることに気づきました。薬を塗って治まるのを待つことにしました。
しばらくすると、Aさんは息苦しさを感じ始めたそうです。
ご主人がAさんを見つけると、目の周りが腫れていました。そして、意識を失い痙攣を起こしてしまいます。
すぐに近くの病院に救急搬送されると、医師たちはアナフィラキシーショックを起こしていると判断しアドレナリン注射をし、症状は落ち着きました。
幸い、Aさんの場合は一命をとりとめましたが、一体、何が原因だったのでしょうか。
通常、アナフィラキシーショックを発症した場合、食べた物や薬を疑います。
この日は、Aさんは健診のため、水以外口にしていませんでした。
原因は?
健診では肺のレントゲン検査に加え、採血や尿検査、胃X線検査(バリウム検査)を受けていました。
胃X線検査とは、バリウム製剤を胃の粘膜に付着させることで胃潰瘍やガンによる粘膜の凹凸を確認できるというもの。
倒れる前に口にしたのはバリウム製剤のみ。
病院の薬剤部はバリウム製剤のメーカーに連絡を取り、10種類の成分を全て取り寄せ、スクラッチテストを行いました。
スクラッチテストとは、皮膚に傷をつけ、10種類の成分のうちどの成分に反応するかを観察するというものです。
20分後、陽性反応が出たのは、「カルボキシメチルセルロースナトリウム」というものでし。
カルボキシメチルセルロースナトリウムとは
カルボキシメチルセルロースナトリウムはバリウム製剤にとろみをつけ胃の粘膜に付着しやすくするもので、アイスクリームやヨーグルトにも使用されており身の回りに多く存在しています。
Aさんはヨーグルトでアレルギー反応を起こしたことはありません。一体なぜ、アナフィラキシーショックを起こすまでの症状を引き起こしてしまったのでしょうか。
カルボキシメチルセルロースナトリウム 初の症例だった
この症例で原因物質を突き止めたのは神戸市立医療センター中央市民病院薬剤部の室井延之薬剤師は、カルボキシメチルセルロースナトリウムが原因でアレルギー反応が起こったという症例は今回のAさんの症例が初めてだったそうです。
本来アレルギー反応を起こす危険性のない成分、安全性の高い物質だということです。
しかし、Aさんは死にかけました。怖いですね。
考えられる原因は、感作(かんさ)。
感作とは
日ごろから特定の抗原に対してアレルギー体質になってしまうことです。
Aさんの場合の原因として推測されたのは、
1. このカルボキシメチルセルロースナトリウムという成分は化粧品にも含まれているため、日ごろより感作が起こっていたこと。
2. そして、検査の時、胃の表面構造を見やすくするため発泡剤を飲むそうですが、これにより胃の表面のバリア構造が開き、通常より通り道が広くなり、そこから成分がより多く吸収されてしまったこと。
この様にいくつかの要因が重なりアレルギー反応が起こったのではないかと考えられました。
結果的に、とても稀なケースと考えられています。
健康診断の問診票にはアレルギーを起こす可能性が示唆されているようです。過去に気分が悪くなったりした方はより一層注意をした方がいいでしょう。